抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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「株主優越主義」を志向する最近のコーポレート・ガバナンス改革は,グローバルな金融化の一環と考えることができる。日本における株式持ち合い比率の低下は,グローバルな金融化がグローバルな企業活動の一角に及んでいることを示すものと思われる。実際,多少の変動はあるものの,日本企業は過去数十年にわたり,株式持合を徐々に減らしてきた。本研究プロジェクトでは,日本企業が伝統的な株式持合の量を減らすことを促した要因について考察する。慎重な調査に基づき,「より良いコーポレート・ガバナンス」を促進することを意図した最近の企業行動を理解する上で,パーフォーマティビティの観点を適用することが有効であると論じている。この視点は,より良いコーポレート・ガバナンスの追求,あるいは開示義務を伴うコーポレート・ガバナンス・コードの制定が,グローバルな金融化の一環として,日本における株式持合の量を減少させるためにパフォーマティブであったとする。具体的には,本プロジェクトは以下のような狙いがあった。第一に,金融化に関する文献のレビューに基づき,金融化の進展が企業の株式持ち合い関係の解消によって示されることを論証する。第二に,パフォーマティビティの視点を理論的レンズとして構築し,日本の状況に適用することで,企業の株式持ち合い量を減少させる上で,いくつかの制度的装置がいかに重要であったかを示す。第三に,詳細な事例分析に基づき,本研究は,比較的最近の株式持ち合いの解消が,関連する慣行の詳細な企業開示を要求するパフォーマティブな企業統治改革によって引き起こされたことを明らかにする。非西欧諸国におけるこのケーススタディは,グローバルな金融化がパフォーマティブなコーポレート・ガバナンス改革によって達成されたことを明らかにするものである。(翻訳著者抄録)