抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,気候変動に対する世界的な取組やデジタル化の流れ,コロナパンデミックによる生活様式の変化など,社会は大きく変化している。2019年に欧州委員会が打ち出したEUの新しい成長戦略「欧州グリーン・ディール」では,2050年までに気候中立(温室効果ガス(GHG)排出の実質ゼロ)を実現することを掲げており,〈1〉エネルギー部門,〈2〉建築部門,〈3〉産業部門,そして〈4〉モビリティ部門の全部門での取組強化を進めている。GHG排出量の25%を占めるモビリティ部門では,よりクリーンで,低コストかつ健康的な個人の移動手段や公共交通移動を促進するとしている。さらに,EU理事会で2021年6月に採択された「欧州気候法」により,EUがパリ協定下で公約した,2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を55%以上削減するという目標は,EU域内で法的拘束力を持つものとなった。また同法は,2050年の気候中立化目標に取り組み,その達成に向けてガバナンス体制を整備することも義務付けている。EU各国政府は,持続可能でスマートなモビリティによる排出量削減を目指して,公共交通機関利用促進のためのインフラ投資,自転車や徒歩移動を増やすための環境整備,電気自動車や低排出ガス車の導入,カープーリング推進による渋滞緩和,高排出ガス車規制や税制による持続可能なモビリティの普及促進,そしてデータを活用した交通輸送システムの最適化による混雑緩和やリアルタイム情報提供による交通輸送サービス改善など,多面的なアプローチが採用されている。本報告書では特に,ICT活用によるモビリティサービスの展開に注目し,モビリティ関連データが交通サービスおよび都市・交通計画等にどのように活用されているかといった視点で,欧州における先進事例を選定した。なお,本調査ではデータ活用の目的は,より便利な公共交通利用や人々の行動変容を促すといった視点を中心とし,ITS関連で近年技術開発が盛んな自動運転車やコネクテッドカー関連の技術・データは調査範囲に含まないものとした。本報告書では,第1章でEUおよび欧州3か国の取組状況を記載し,第2章で欧州の都市における先進的なモビリティデータ活用事例について紹介するが,第1章で取り上げるオーストリア,フィンランド,英国は,第2章の先進事例に基づき選定されたものである。(著者抄録)