抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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米国で深海掘削計画(DSDP1968-1983)が開始されてから半世紀以上が経過した。DSDPに続いて,海洋掘削計画(ODP1983-2003),その後,統合海洋掘削計画(IODP2003-2013)が開始された。2013年からは国際海洋研究計画(IODP2013-2023)として継続されている。2020年10月には,2023年に終了するIODPの第2フェーズに続き,新たな深海掘削プログラムの2050年までの長期的な科学的展望(Science Framework 2050)が電子出版された。深海掘削科学は,地球科学の分野で最も成功した国際協力のひとつに違いなく,これまでに1,000以上の深海科学掘削サイトが実施され,地球内部を直接探査するために不可欠なアプローチとなっている。その研究成果は,初期のプレートテクトニクスにおける海底拡大説の検証,古環境変動の解明,地下生命圏の調査など,幅広い分野で海底の科学的理解を推し進めてきた。しかし,深海性堆積物に覆われた海洋地殻の主要材料である岩石(主に玄武岩質火成岩)の,いわゆる「基盤掘削」は順調に進展しているとは言えない。半世紀以上にわたる深海掘削計画の中で,100m以上の38孔のみが基盤岩を通して掘削され,200mよりも深い20孔が掘削されているに過ぎない。加えて,基盤岩掘削によって回収された海洋地殻物質の総量は,掘削深さ総延長の2%以下である。しかし,深海底ボーリング孔の掘削や掘削岩石の回収は容易ではないが,入手可能な基盤物質から海洋地殻の構造や岩石学的性質が徐々に解明されてきている。深海掘削計画以前の科学掘削の歴史を簡単に紹介しながら,現在までの深海底掘削に関するいくつかの重要な研究をできるだけ時系列で概観する。さらに,将来的なマントルまでの超深部基盤岩掘削の計画についても簡単に紹介する。(翻訳著者抄録)