抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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兵庫県南部地震で被害を受けたラーメン鋼製橋脚において,その中間梁部のウェブ面でX形の座屈波形を残し,比較的軽微な損傷に留めたものがあった。せん断パネルの配置や構造によって過大な地震エネルギーを吸収し,大きな変形性能を確保できるような構造システムが考えられる。本文ではこれを「せん断塑性リンク」と呼ぶ。本研究は,前報告のせん断を受ける柱の実験に福山大学で開発した耐震用新鋼材(FLS)をウェブに用いた実験を行った。本研究では門形ラーメン鋼製橋脚の柱にせん断塑性リンクの導入を想定し,両端固定の箱形断面柱に一定鉛直荷重のもと繰り返し水平力を載荷する実験を行った。実験は,ウェブ厚3.5mmおよびフランジ厚7mmの場合とウェブ厚7mmおよびフランジ厚7mmの場合について行った。ウェブ厚7mmの場合は,軸力と曲げによる圧縮力によって,フランジの曲げ座屈がウェブのせん断座屈より先行するため,フランジ厚を厚くする必要がある。ウェブにFLSを用いれば,強度は普通鋼(SM)と同等となるが,変形性能は低降伏点鋼(LY)より劣る。エネルギー吸収量は最も優れる。以上のことから,せん断塑性リンクの開発には,鋼種を考慮するだけでなく,使用鋼材のせん断特性に適したフランジ厚およびウェブ厚を採用し,ウェブのリブ数を変化させることにより,SMより強度および変形性能に優れたせん断塑性リンクが可能となる。