抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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交流鉄道車両のコンバータ・インバータによる誘導電動機駆動システムでは,インバータの入力電圧には電源の2倍周波数の脈動成分が含まれているため,インバータ周波数が脈動周波数に近づくとビート現象が発生し,電動機トルクや電流に脈動が発生して車両としての正常な走行が著しく損なわれる。このようなビート現象を抑制する方法として,入力電圧の脈動成分に応じてインバータ周波数をフィードフォワード的に操作するビートレス制御方式が採用されている。しかしながら,ビート現象の充分な抑制効果を得るには,補償演算のゲインおよび位相特性をインバータ周波数,さらには力行や回生などの車両の運転状態に応じて複雑かつ詳細に調整する必要がある。このため,補償演算特性の設定に当たっては,シミュレーションなどに拠っているものと思われるが,シミュレーションでは,トルクや電流脈動の改善可能な最大限界,さらには限界性能を実現する最適な補償演算定数等を見通し良く把握することは困難である。これらの把握のためには,ビート現象を定量的に表す物理モデルを作成し,モデルに基づいた解析的手法の導入が不可欠である。本論文ではビートレス制御について,周波数領域での解析モデルを提案し,このモデルを用いて補償演算特性を解析的に設定可能なことを明らかにする。提案した解析モデルは,インバータと誘導電動機のみより成る主回路ループと,ビートレス制御による,すべり周波数操作を表す補償ループより成る。ビートレス制御では,主回路ループの影響を,補償ループで打ち消しているものと解釈することができる。これから,補償演算定数の設定に当たっては,脈動周波数にのみ注目し,この周波数において両ループが相殺されるように設定すべきであることを明らかにした。本解析モデルによる補償演算の設定法はシミュレーション結果と良く一致し,その有効性を確認できた。