抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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地球温暖化防止対策としてバイオエタノールが注目されている。バイオエタノール燃料を購入するか否かは,地球温暖化防止に対する消費者の支払い意志額(WTP)と考えられる。しかしながら,ガソリン価格は常に変動しているため,ガソリン価格が一定額という条件においてバイオエタノール燃料に対するWTPを求めただけでは,現実に対応したWTPとは言えない。つまり,ガソリン価格変動を考慮に入れた上でWTPを求める必要がある。価格変動に対応するWTPを求めるためには,その変動に対する個々人の連続した支払い傾向を明らかにする必要があり,従来のWTP推定方法を工夫しなくてはならない。よって,本研究では仮想評価法を改変し,アンケート調査においてガソリン価格を110円,120円,130円の3段階に設定し,ガソリン価格が変動した場合のE3燃料(ガソリンに3%のバイオエタノールを直接混合した燃料)へのWTPを同一回答者に尋ねた。分析の結果,条件変動に伴うWTPの変化パターン導出が可能となった。この変化パターンにより,自然環境保全に対する支出行動において,消費者は次の3つのグループに分類された。(1)環境に対して対象財の価格以上のWTPを持たないグループ,(2)対象財の価格上昇に伴いWTPを減少させるグループ,(3)環境に対する支出行動において,価格条件の変化に関わらずある一定の額を保有しているグループ。特に最後のグループの存在と特徴が初めて示唆された。更に,通常のガソリンとE3燃料が併売された場合,販売総額が最大となるE3燃料の価格を推定した。結果,設定したガソリン価格より,約9円高くE3燃料の価格を設定すると販売総額は,ガソリン単独の販売と比べ2~3%増加し最大となることが明らかになった。(著者抄録)