抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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時間情報を処理する能力は,アメーバからヒトに至るまで,すべての生物の知覚,認識処理,運動行動の基礎となっている。数十マイクロ秒から数百ミリ秒の範囲の時間情報処理は,ニューロンおよびシナプスの性質に基づいた神経回路機構が行っていることは知られている。秒から分の範囲の時間情報処理がどのように行われているかは,よくわかっていない。サルやラットでの作業記憶の研究で,前頭前野,頭頂皮質,および視床のニューロンが,動物が記憶するように訓練された,数秒間の特定な時間間隔の終了まで,時間の経過に比例して次第に増してゆく活動を示すことが見いだされている。多くの生物は,数秒の時間スケールの周期的な知覚刺激の時間間隔も記憶でき,それにしたがって運動行動を協調させることができる。例えば,音楽のリズムを聴いた後は,しばらくそのリズムが保たれる。今回報告するのは,ゼブラフィッシュ視蓋の特定のニューロン集団間でみられる周期的活動で,数秒オーダーの間隔で繰り返す知覚刺激について,時間間隔の記憶が最大約20秒まで保持された。ゼブラフィッシュ幼生に,反復的視覚性条件付け刺激(CS)を与えると,その後特定の視蓋ニュローロン集団間で周期的なCS後活動がみられ,その間隔はCSのそれによく一致していた。その幼生では,視覚運動行動にも規則的なCS後反復がみられ,CSの間隔と同調したその間隔は,視蓋でのニューロン集団活動の周期とも相関していた。したがって,特定のニューロン集団間の周期的活動は,数秒オーダーの時間間隔に合わせて調節可能な「メトロノーム」として働いており,周期性のある知覚体験に関して,その短期記憶の機構を担っている可能性がある。Copyright Nature Publishing Group 2008