抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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太陽電池モジュールの分光感度特性を直接かつ非破壊で測定する技術には,モジュール全面に単色光を照射する方法(全面照射法)とモジュールの一部に単色光を照射し,モジュール内部のセルの分光強度を測定する方法(部分照射法)が考えられる。部分照射法は,全面照射法に比べ単色光の均一な照射が可能で,バイアス光の照射も容易なため,モジュールの種類・サイズに関係なく適用可能だが,精度良く測定するために必要な基本的な測定原理は明確化されていないのが現状である。部分照射法による分光感度の測定原理を明らかにし,測定方法を確立することで,基準状態での太陽電池モジュールの出力測定におけるスペクトラムミスマッチ補正の精度向上の他,分光感度の場所ムラの把握や,劣化状況の確認など様々な用途に適用できると考えられる。本研究では,まず部分照射法に必要なバイアス電圧について最適なバイアス電圧の設定方法を検証した。モジュールのI-V特性V
module(I)と測定対象外セルのI-V特性V
othersの交点が最適バイアス点であり,測定対象セルにバイアス光を照射した状態でも最適なバイアス電圧を印加することが可能であることが示された。次に補助バイアス光,バイアス光が測定結果に及ぼす影響を検討した。直接セルの分光感度を測定した場合に比べて絶対値,相対値ともに大きく異なることがわかった。補助バイアス光の実効照射が低い時だけでなく,測定対象セルに高い実効放射照度のバイアス光を照射した場合においても起こり得る現象である。従ってモジュールの分光感度を正確に測定するためには,補助バイアス光の放射照度を高くするか,測定対象セルの照射面積を調整することで,動作点付近のI-V特性の傾きを線形とする必要がある。以上により,補助バイアス光及びバイアス光は,その放射照度によってI-V特性の傾きを変化させ,測定値を増減させる要因となることが明らかになった。最後に,本提案手法の集積型の薄膜太陽電池モジュール及び多接合太陽電池モジュールへの適用性を検討した。a-Si/μc-Siタンデム電池を用いて測定を行ったところ,補正後の分光感度は直接測定値とほぼ等しく,本研究のモジュール分光感度測定法が,これらのモジュールにも適用可能であることを確認した。