抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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1982年から1992年に570億円の国費を投じて実施されたナショナルプロジェクトである第5世代計算機プロジェクトは野心的であり,海外にも大きなインパクトを与えた。「第5世代」に対抗して新しい計算機の戦略的な国家プロジェクトがアメリカ,イギリスでも計画された。しかし,プロジェクト終了後16年経過した現時点で,プロジェクトが計画した並列推論が人工知能の主流になる兆しはない。今後,推論が知識処理で使われる可能性はゼロではないが,そうなってもすでに「第5世代」とは無関係であろう。「第5世代」の計画は,トフラーの「第三の波」に代表される無責任な未来論が投射する「技術や社会のあるべき姿」から導き出された。外圧(アメリカからの技術タダ乗り論)への配慮がそれを後押しした。プロジェクトの目的を実現する社会的技術的基盤の検討はないがしろにされた。このプロジェクトの最大の問題は目標の設定にあった。計算機科学を含む広い認識を欠いていたことに帰着される。より広い学術の流れの文脈で構想されていれば,「ものつくり」の新しい潮流を作り出す可能性があった。