抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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新潟県村上市神林地区では,洪水常襲地区の上流域に広がる水田に「落水量調整板」を設置し,大雨時に水田に意図的に雨水を貯留することで洪水緩和を図るという「田んぼダム」の取り組みが行われている。本研究では,この落水量調整板による水田からのピーク流出抑制機能を水田耕区スケールで検証した。水田からの流出量は,湛水状態の場合,この落水量調整板の孔(オリフィス)と排水マス入り口に設置されたせき板(四角せき)によって規定されるが,中干し期の場合はせき板が外され,田面に溝が切られるため田面水の排水マスへの流入量は,この溝の密度及び形状によって異なる。したがって,前者は,四角せきとオリフィスの公式,後者は,流出孔にオリフィスを想定したタンクモデルを構築し,流出量を計算した。田んぼダムのピーク流出抑制効果は,観測降水量及びそれを引き伸ばした確率降水量を用いて調整板設置・不設置の場合の水田1区画あたりからの流出量のシミュレーションを行い,両者を比較することで算定した。観測降水量(101.8mm)では湛水状態の場合,調整板の設置によりピーク流雌の48%,中干し初期の場合で,55%を減少させる結果となった。降水量の増加に伴い,ピーク流出抑制効果は大きくなり,引き伸ばし法による50年確率降雨では,湛水状態の場合,ピーク流出量の73%,中干し初期の場合では,71%を減少させるという結果を得た。(著者抄録)