抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
伊勢湾東部の浅海域に建設された中部国際空港島が周辺海域環境に与える影響を確認するため,空港島周辺の浅海域において,水温,塩分,溶存酸素,底質,底生生物の定点調査を2002年10月から2005年10月の成層期に,また空港島と対岸に挟まれた水道の中央部で水位,海底直上水の溶存酸素,水温,塩分の連続測定を2007年4月から9月に実施した。さらに,空港島南側水深13mの地点の底泥柱状試料を1cmごとに鉛210法で年代測定し,表層付近の堆積速度0.5cm y
-1を得た。この結果に基づき,採取した柱状試料を表層0cmから5cmまでを1cmごとに,5cmから10cmまでを2.5cmごとに分割し,強熱減量,全炭素,全窒素,全リン,全硫黄を分析した。また,底生生物の種類と個体数を測定し,工事開始以前の事業者の調査結果と比較した。さらに,既存資料に基づき漁業生物に対する影響を考察した。この結果,第一に,空港島建設に伴い周辺浅海域の底生生物群集の種類数と個体数が貧酸素の発生と底質の劣化によって顕著に減少したこと,第二に,この貧酸素と底質劣化は空港島の遮蔽効果による潮流の減少によって生じたものであること,第三に,空港島建設による浅海域の喪失および周辺浅海域の貧酸素や青潮によって,この海域を成育場とする漁業資源が減少した可能性があることが,それぞれ立証された。また,底質調査においては,採泥器で深さ約10cmまで採取・混合して分析する従来の方法を,底泥柱状試料を表層付近では1cmごとに分割して分析する方法に,改善する必要があることが改めて確認された。(著者抄録)