抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本海沿岸で冬季に送電線故障と同時に観測される雷放電のほとんどは,絶対値で200kA級の大電流を伴う,送電線鉄塔から上向きリーダで開始する雷放電で,逆フラッシオーバを発生させると推測される。この種の上向き雷放電と送電線事故の関連を,より詳細に検討するため,冬季に送電線故障と同時に観測された雷放電の極性別の地域分布を調べた。その結果,冬季に北陸地方で経験された送電線故障と同時に観測された雷放電の,極性別の地域分布においては,沿岸部と内陸では互いにかなり異なることがわかった。すなわち,送電線故障と同時に観測された雷放電は,沿岸部では正極性落雷が多く,海岸線からの距離が約20km以上の内陸では,負極性落雷の比率が高かった。同様に,冬季の北陸地方においてLLSで観測した雷放電全体の極性,電流値別の分布を調べた。その結果,負極性雷放電では沖合の雷放電密度が低く,電流値が高いほどその傾向は顕著であることがわかった。また,絶対値100kA相当より大きい電流を伴う負極性雷放電は,電界変化波形をしらべたところ,内陸ではほとんどが上向き落雷である事がわかった。正極性雷放電では,負極性雷放電とは異なり,電流値が高いほど内陸の比率が低くなる。送電線故障を発生させた雷放電の極性分布と,それぞれの地域(沿岸部,内陸部)にてLLSで観測された雷放電の極性分布はほぼ一致した。これより大電流の雷放電が引き起こす送電線故障率は,極性を問わない全雷撃密度に比例すると考えられる。