抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
国土地理院は,陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)に搭載されているLバンド合成開口レーダー(PALSAR)の観測データを用いて,干渉SAR解析を定常的に実施している。この定常解析に加え,災害発生時には,災害状況の把握等を目的として,緊急解析も実施している。2007年3月25日に発生した平成19年(2007年)能登半島地震では,北行軌道と南行軌道の異なる軌道からの観測がそれぞれ2回実施され,これらの観測データを用いた緊急解析を行った。これらの解析結果は,地震による広範囲の変動を面的に捉えることに成功した。さらに,いずれも震源断層モデルによるシミュレーション結果とほぼ一致しており,干渉SARによって,地殻変動を正確に捉えたことを示した。また,SAR干渉画像単独では変位の向きを特定することはできないが,2方向以上からのSAR干渉画像を組み合わせることにより,変動を擬似的な上下方向の成分と東西方向の成分とに分離することが可能となる。これによって得られた上下・東西方向の変動量は,能登半島地震のメカニズムから想定される変動量と調和的であった。これらの成果は,基準点の改測などの復旧作業を行う上で重要な情報となる。さらに,地震に伴う地殻変動に加えて,地すべりなどの局所的な地表面の変化を捉えることに成功した。この中には,現地調査や空中写真判読では捉えることが難しい微少な地すべりも含まれており,大規模災害に発展する可能性のある地域の把握等,防災面でも有効な情報となることが示された。(著者抄録)