抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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北海道の代表的野菜栽培地域4か所のハウス土壌を対象に,深さ1mまでの層位別に無機養分,特に硝酸態窒素の残存実態を調べて,栽培方法との関係を検討するとともに,ハウス栽培における下層土診断法の有効性を明らかにした。その結果,作土層の各養分の平均値は,pHが6.1,可給態窒素が87mg/kg,可給態リン酸が1249mg/kg,交換性カリウム,カルシウム,マグネシウムが各々593,4315,640mg/kgであり,可給態リン酸および交換性陽イオンは北海道の土壌診断基準値よりも高かった。いずれの作物のハウスでも作土や下層土での硝酸態窒素の残存が認められた。深さ0~1mに存在する硝酸態窒素が基肥前より栽培終了時で高く,窒素投入量が窒素持出量を大きく上回っているハウスが多かった。また,各ハウスにおける基肥前の深さ20~60cmの硝酸態窒素量に基づいて下層土を診断した場合,追肥窒素の減肥量は90~242kg/haとなった。本値は北海道の標準的なトマト1作当たりの追肥窒素量の45~121%に相当した。多くのハウスにおいて,堆肥の連用に起因して土壌中に可給態窒素が高まっていることから,施肥量の決定においては可給態窒素を考慮する必要があると判断した。これらの結果から,雨や雪による溶脱の少ない条件下で深根性の果菜類を栽培する場合,下層土の硝酸態窒素を評価すること,また,寒冷地においては作土の可給態窒素を評価することが,適正な施肥量を決定する場合に重要である。