抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
英虞湾は伊勢志摩国立公園内に位置し真珠の養殖で広く知られているが,近年では赤潮や貧酸素水塊が度々発生している。本研究では干潟に人の手を加えることによって干潟生物の生産性と多様性の両方を向上させる技術について議論し,それらを実践した際の干潟の生物生息機能と物質循環機能について予測した。比較的貧栄養な干潟の場合,そこに浚渫土を添加することや富栄養化した堤防後背地に海水を導入する手法によって底生生物の増加を誘導し,生物量と多様性がともに高い生物相に変化することが示唆された。一方,底生生物は干潟の物質循環機能に大きく寄与していることが知られている。すなわち,干潟の特性として懸濁態有機物に対してシンクであり,溶存態無機栄養塩に対してはソースとして機能していることが判明している。さらにこれに加えてアマモ場を再生することにより,相乗的に場の生物量と多様性がともに向上することが考えられた。以上の本研究で紹介した技術により,英虞湾奥部の円滑な海域の物質循環を取り戻すことが可能になると考えられた。