抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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一般的に,巨視的な摩擦則はナノスケールの接触には当てはまらない。連続体力学モデルはナノスケールでは成立しないと予測されてきたが,よりよい理論が存在しないため,このモデルは適用され続けている。ナノスケールで摩擦力が荷重と接触面積にどのように依存するかを解明することは,最適な機械的性能をもつ小型デバイスの設計に不可欠である。今回我々は,現実的力場を用いる大規模分子動力学シミュレーションを用いて,ナノスケールの乾いた接触面における摩擦則を確立した。摩擦力が,接触面で化学的に相互作用する原子の数に,線形依存することを示す。接触面積をこの相互作用する原子数に比例すると考えることで,巨視的に観測される摩擦力と接触面積の線形関係が,ナノスケールまで拡張可能だとわかった。我々のモデルは,接触面間の付着力が減少するにつれ,摩擦力の荷重依存性が非線形から線形へと移行すると予測している。この移行は,いくつかのナノスケール摩擦実験の結果と一致している。我々は,連続体力学の無効化は,接触面がもつ粗い性質(マルチアスペリティ)によるものとして理解できることを実証し,摩擦の粗さ説がナノスケールにも適用できることを明らかにした。Copyright Nature Publishing Group 2009