文献

J-GLOBAL ID：200902231672032966   整理番号：09A0051019

社会の学としての霊長類学 ニホンザルのオス・メス間の友達関係は何のため:社会生態学の有効性と限界

著者 (1件)： 中川尚史 (京大 大学院理学研究科)
資料名： 霊長類研究  (Primate Research)
巻： 24  号： 2  ページ： 91-107  発行年： 2008年12月20日 
JST資料番号： L5993A  ISSN： 0912-4047  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 霊長類では,血縁関係にない非発情中のオスとメスに,毛づくろいや空間的近接を指標に判断される親和関係が認められている。そこで,本報では,その友達関係を社会生態学的,または行動生態学的に考察し,さらに例外的事例からこれらの学問の限界を指摘した。社会生態学的に見て,このような友達関係は,メスにとっては敵対者からの攻撃の防御の際に有効に働くが,オスに関しては決定的な利益は,認められていない。しかし,一方で,群れから外れ,敵対者からの攻撃の防御として期待できないオスへの毛づくろいも例外的ではあるが観察されている。このような行動に関しては,社会生態学的,行動生態学的理論に合わない事例として考察することにより,理論の限界を定めていくことが,学問の信頼性を高めるうえで重要であると考えられる。

シソーラス用語： ニホンザル ,  グルーミング ,  生態学 ,  群れ ,  アカゲザル ,  *動物行動 ,  観察 ,  *サル ,  年齢 ,  哺乳期 ,  ヒヒ属 ,  血縁 ,  キイロヒヒ ,  妊娠持続期間
準シソーラス用語： ヒヒ ,  血縁関係 ,  サバンナヒヒ ,  行動観察 ,  妊娠期間 ,  授乳期間

分類 (1件)： 個生態学  (EE03020H)

引用文献 (67件)：

• ALBERT, SC. Sexual selection in wild baboons : from mating opportunities to paternity success. Anim Behav. 2006, 72, 1177-1196
• ALTMANN, J. Baboon mothers and infants. 1980
• BARTON, RA. Ecology, feeding competition and social structure in baboons. Behav Ecol Sociobiol. 1996, 38, 321-329
• BUCHAN, JC. True paternal care in a multi-male primate society. Nature. 2003, 425, 179-181
• CARROLL, SP. The evolution of behavioral norms of reaction as a problem in ecological data. Geographic Variation in Behavior : Perspectives on Evolutionary Mechanisms. 1999, 52-68

タイトルに関連する用語 (9件)： 社会 ,  学 ,  霊長類学 ,  ニホンザル ,  メス ,  友達 ,  生態 ,  有効性 ,  限界