抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,海外において針葉樹林を中心に,樹高(それに伴い変化する林齢)の増大に伴う林分蒸散量の低下が報告され,その主要な原因の一つとして,樹高の増大に伴う単位葉面積当りの蒸散量(Q
1)の低下が指摘されている.しかし,日本の針葉樹林においてQ
1の低下の有無が調べられていないため,Q
1の低下の有無を日本の代表的な針葉樹であるヒノキにおいて調べた.本研究では,互いに近接して生育し,樹高の異なる3つの林分(樹高の低い方からそれぞれS,M,L林分と名付けた)から3個体ずつ,合計9個体において樹液流計測により蒸散量を算定した.その結果,樹高7.0~11.5 mの範囲(S林分からM林分までの樹高の範囲)において,樹高とQ
1の間に負の相関が認められた(r = 0.97, P < 0.005).一方,樹高11.3~18.1 mの範囲(M林分からL林分までの樹高の範囲)においては,樹高とQ
1の間に明確な相関は認められなかった(r = 0.40, P > 0.1).本研究の結果は,樹高に伴うQ
1の低下は樹高が低いときには顕著であるが,樹高が高くなると顕著でない(ないし,存在しない)ことを示唆する.(著者抄録)