抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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濃厚ポリビニルアルコール(PVA)溶液から製造したPVA-よう素錯体ヒドロゲルの構造と動力学を,高分解能固体
13C-NMR分光法で解析した。完全緩和双極子デカップリング(DD)/MAS
13C-NMRスペクトルによると,ヒドロゲルは,少なくとも2つの成分,高移動性成分と幅広成分とを含んでいる。前者を,PVA-よう素錯体とは密接に結びついていない,可溶性あるいは水膨潤性PVA鎖に帰属させた。一方,広角X線回折分析では従来のPVA結晶回折ピークを観測しないので,後者をPVA-よう素錯体生成によって生じた凝集PVA鎖に主に帰属させた。更に,
13Cスピン-格子緩和時間(T
1C)解析によると,幅広成分は,PVA-よう素錯体を含むPVA分子鎖凝集体に帰属できる高度に拘束された成分及び移動性の低い成分とから成っていた。前者の成分に関しては,最小二乗曲線あてはめによって,T
1Cフィルタリング法で測定したCH共鳴線を,7個の構成線へ首尾よく分解した。このようにして取得した構成線の集積強度の統計解析によると,各分子鎖に沿う連続的な2個のOH基の分子内水素結合の確率f
a並びにもう1つのtransコンフォメーション確率f
tは,それぞれ,0.86及び0.88であった。この事実は,PVA-よう素錯体含有PVA分子鎖凝集体はtrans過剰コンフォメーションのPVAセグメントから成り,その中のPVA-よう素錯体はいわゆる凝集モデルと一致して棒状ポリよう素を取り囲むいくつかのtrans過剰セグメントによって形成された。更に,SPring-8での強X線源で測定した広角X線回折(WAXD)プロファイルの低2θ領域の,PVA-よう素錯体ヒドロゲルにとっての,六方晶構造で解釈できるいくつかの新規回折ピークを観測した。このことは,PVA-よう素錯体を六方晶系凝集体モデルとみなす新規構造モデルを作成するためには,更に詳細なWAXD解析が必要であることを示唆した。Copyright 2008 Elsevier B.V., Amsterdam. All rights reserved. Translated from English into Japanese by JST.