抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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アルミニウム箔が,リチウムイオン電池(LIB)の正極集電体として唯一無二であり,代わる材料がない,その理由について解説した。第1に,正極集電体としてアルミニウム箔を用いた場合,使用する電位領域ではリチウムイオンがドープせず,アルミニウム箔の脆化による機能低下が生じない。第2に,アルミニウム箔の表面は強固な自然酸化皮膜で覆われており,耐食性が高い。第3に,アルミニウム箔の表面には導電性があり,かつ大電流の供給を可能にする皮膜の存在があげられる。これらの理由を裏付けるアルミニウム箔の特徴を,技術資料および実験データなどにより詳しく解説した。まず,リチウムのドープ現象では,発生する電位を特定し,その近傍での各種金属のドーピング試験の実施データによりアルミニウムが有利であることを明らかにした。LIB内では,アルミニウム箔の表面には極めて安定した性質を有する不導態皮膜を生成する反応式を示し,耐食性に有効な皮膜となる過程を紹介した。皮膜の導電性では諸説があるが,有力な表面欠陥説とトンネル効果説の2説について概要を述べた。ついで,LIB用アルミニウム箔として使用される主なアルミニウム合金の種類と主要な添加元素の成分,導電率,焼鈍の加熱温度・時間によって異なる引張強さと伸び率の関係などを詳述し,用途に適したアルミニウム箔の選択が重要であると結んだ。