抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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身体の運動機能に対応した被服設計を行うため,肩関節の可動域と着衣動作との関連を明らかにすることを目的とした。本研究の資料は,高齢女性46名と若年女性23名である。(1)高齢女性は若年女性に比べて,肩関節の可動域が平均で約20°と有意に狭い。(2)高齢女性の間では年齢と可動域との相関は見られない。(3)原型程度のゆとりしか入っていない上衣Aでは,外転運動の可動域が120°以下の被験者は,後から通す袖ぐりに手首を入れる動作が困難であった。これは高齢女性では高齢女性は肘を曲げた状態で手首を肩よりも後ろに引くことができないため,肘を外転させて肩の上から手首を袖ぐりに近づけようとするためである。外転運動の可動域が小さい場合,この動作が困難となるといえた。これに対して背中にプリーツを入れた上衣Bは背幅が広がるため,袖ぐりを手首のある位置まで引っ張ることができる。そのため,肘を外転させることなくスムースに手首を袖ぐりに入れることができる。したがって,高齢女性のように手首を肩より後方へ引く動作と外転運動が困難な人にとって上衣Bは着衣しやすいといえる。本研究で高齢女性の着衣動作が困難となるメカニズムと着衣動作を定量的にとらえるための手法を明らかにすることができた。今回,実験に使用した上衣Bは背幅が最大で24cm広がるように設計されている。高齢者や障害者用の被服設計やリフォームに応用するため,今後は可動域の程度に対応したゆとり量および,適切なゆとりの位置について検討する必要があると考えられた。(著者抄録)