抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2000年以降原油価格は上昇を続け,2006年には1バレル70ドルという歴史的な高値にまで高騰した。しかし,今回の原油価格高騰は,各国に石油ショック時のようなパニックを引き起こさなかった。その一因として,石油ショック以降,先進各国は原油をはじめとする資源節約技術の開発に努めてきたことが挙げられる。本稿では,国内経済の輸入原油集約度および国内物価の輸入原油価格感応度という2つの指標を用いて,輸入原油価格の変化が国内物価にどの程度の影響を与えるかシミュレーションを行い,日本とアメリカにおける長期での技術構造変化を比較する。分析の結果から次のようなことが確認された。日米とも,輸入原油集約度は,石油ショック直後に急速に低下したが,1980年代の後半になると,日本ではほぼ横ばいとなり,アメリカではやや上昇に転じさえしている。ただ,両国でそうした変化の要因は異なる。日本では輸入原油投入率の低下と国内の投入構造の効率化が同時に起こったが,アメリカの場合は国内の生産構造効率化はあまり進展しなかった。輸入原油価格の国内物価への波及をみると,日本では石油ショック直後はその影響はきわめて大きかった。しかしその後,国内物価の輸入原油価格に対する感応度は,石油ショック前と同水準まで劇的に低下した。アメリカは,日本に比べて,そもそも輸入原油価格の国内物価への影響はきわめて限定的であることがわかった。(著者抄録)