抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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瑞浪超深地層研究所における研究坑道の掘削は,排水中のフッ素及びホウ素の濃度が放流先河川において環境基準値を超えたことから,平成17年10月に研究坑道の掘削及び坑内湧水の排水を一時停止した。さらに研究坑道の掘削に伴う湧水量の予測解析結果は,排水処理設備の処理量を設定した時の湧水量の予測を上回る量であった。そのため,地上の排水処理設備を改良・整備するとともに,以深の研究坑道の掘削に伴って遭遇する地質環境の特性(地質・地質構造,岩盤水理,水質など)を把握することにより,それに基づいてその後の研究坑道の掘削において必要となる,1)排水処理設備の設計,2)グラウト施工計画ならびに3)施設設計の見直し,のための情報を取得することを目的に,パイロットボーリング調査を実施した。パイロットボーリングは主立坑及び換気立坑の坑底からそれぞれ1本ずつ掘削したその結果,深度500m付近までの地質環境を把握し,以下の情報を整備した。・主要なグラウチング対象個所として,換気立坑の深度210m付近の低角度を有する割れ目の集中帯(LAFZ)と深度約400~460mの割れ目帯が抽出された。・二次元軸対称モデル及び三次元モデルを用いた数値解析による深度500mまでの研究坑道の掘削に伴う予測湧水量は,グラウトを実施しないケースで,2,000~2,500m
3/日となった。これに基づいて当面の排水処理量を設定した。これは,研究坑道の掘削停止後にパイロットボーリングの情報が無い時点で実施した三次元予測解析結果と比較すると1/3~2/5程度である。・大量湧水の可能性のあるLAFZの透水性を2ルジオン相当まで低減させるグラウチングにより,当該箇所からの湧水を大幅に抑制することが可能である。・地下水圧測定の結果,著しく高い水圧の湧水に遭遇する可能性は低く,既存の設備によるグラウチングが可能である。・今後の支保工(壁面の補強等)の仕様及び水平坑道のレイアウト等を検討するために必要な地質・岩盤状況を把握した。・施設計画の策定にあたっては,立坑掘削地点での詳細なパイロットボーリング調査が必要不可欠であることを再認識した。さらに本報告書では,調査中に得られた技術的知見やノウハウならびに失敗事例についても取りまとめた。(著者抄録)