抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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トレボキシア藻綱は陸上植物の直接祖先である緑藻の中の一綱であり,単細胞緑藻のクロレラ,パラクロレラ,トレボキシアなどは内生胞子形成により分裂増殖するが,二分裂するナノクロリスや出芽をするマルバニアなどの種も僅かに存在する。2つの分裂様式の進化関係を明らかにする研究が盛んに行われ,著者等は二分裂型のNannochloris bacillarisと出芽型のMarvania geminataでは,母細胞壁が脱ぎ捨てられずに娘細胞壁に密着したままである点で大きく異なることを示した。本研究では,マルバニア属の出芽型Marvania coccoidesを用いて,これまでに観察された母細胞壁の残存様式の違いが分裂様式の多様性を引起すという現象が,普遍的な事象であるかを明らかにしようとした。M.coccoidesの蛍光顕微鏡観察と透過型電子顕微鏡観察の結果は,M.geminataの観察結果に非常に類似した。出芽型は,内生胞子形成型と異なるように見えるが,母細胞壁が脱ぎ捨てられずに新生した娘細胞壁に張り付いているだけのようだった。出芽型は,母細胞壁が残存するという表現型を得てトレボキシア藻綱内で発達し,その後M.gemiantaとM.coccoidesの種が分岐したと思われる。