抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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市販のマイクロ波誘電セラミックスの多くは,ペロブスカイト型結晶構造を取る。このような構造を取る複合酸化物は,比較的高い誘電率,高い品質因子(Q・f値),ゼロに近い共鳴周波数の温度係数が,同時に求められる無線通信技術で有望とされる。一方,Mg
4Nb
2O
9(MN)化合物といったコランダム構造セラミックでは,その共鳴周波数の温度係数は,Al
2O
3と同様,負であるが,そのQ・f値と,その固溶体は,Al
2O
3に匹敵することが明らかとされている。だが,(Mg4-xMx)(Nb2-xAy)O9(M=Mn,Co,Zn;A=Ta,Sb)化合物の結晶構造とマイクロ波誘電特性との関連明らかとされておらず,高いQ・f等を実現する上で,重要である。本稿では,(Mg
4-xM
x)(Nb
2-yA
y)O
9(M=Mn,Co,and Zn,A=Ta and Sb)化合物の結晶構造と,マイクロ波誘電特性について調査した。まず,固体状態反応法によって,組成(Mg
4-xM
x)(Nb
2-yA
y)O
9(M=Mn,Co,and Zn,A=Ta and Sb)の試料を調製した。そして,Hakki-Coleman法によって,マイクロ波周波数におけるマイクロ波誘電特性を測定し,温度20°Cと80°Cにおいて,共鳴周波数からその温度係数を測定し,更に,X線回折(XRD)法によって,焼結試料の多結晶を同定した。そして,誘電定数は,MでMgを置換することで11から16まで減少し,Q・f値が,210000から5000GHzまで減少した。一方,AでNbを置換することで,セラミックスのQ・fの値が上昇すること,とりわけ,Mg
4Ta
2O
9セラミックでは,最高値が347000GHzであった。この結果は,MによるMgの置換は,AによるNbの置換よりも,結晶構造の不安定性に大きく影響することを示唆する。更に,カチオン-酸素結合の共有原子価と結晶構造との関連を調査するため,カチオン-酸素結合の共有原子価を算出した。この結果,MO
6八面体のM-O結合長が,MgをMに置換することで増加した。これは,M-O結合の共有原子価の減少を示すものである。