抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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今回は,フェライトの基礎について解説する。EMC部品の多くは磁性材料を使用しているが,その中でも,フェライトが幅広く使われており,EMCにとってはなくてはならない素材の一つとなっている。フェライトは,鉄を主成分とする酸化物磁性材料であり,ソフトフェライト(磁心材料)とハードフェライト(磁石材料)がある。ソフトフェライトとハードフェライトの違いは,その履歴曲線(ヒステリシスカーブ)にある。磁界の印加にたいして,ソフトフェライトは,磁化されやすく元に戻りやすいが,ハードフェライトは,磁化されにくく元に戻りにくい。フェライトにとって,透磁率μは極めて重要な特性であり,透磁率μと磁界の強さHおよび磁束密度Bとの間には,B=μHの関係がある。すなわち,透磁率μは,磁束の通りやすさを示し,B-Hカーブの傾きになる。実用上,比透磁率で示した方が便利なので,一般にμと言うと比透磁率での値をいう。比透磁率は,その磁性体が真空(空気)の何倍磁束を通しやすいかを意味する。次に,フェライトによるノイズ対策の原理を説明する。フェライトコアは,さまざまなノイズ対策に使用されているが,以下のように分類できる。1)フィルタを構成するインダクタンス素子として; 2)インピーダンスでノイズを遮断するため; 3)R成分でノイズを吸収(熱に変換)するため; 4)シールドとして。 このうち,インピーダンスでノイズを遮断するのは,ノイズ対策用フェライトコアの一番一般的な使われ方である。この際,ノイズはインピーダンスで阻止されるものの,インピーダンス素子端で反射が起こってしまうため,ノイズが消えてしまう訳ではないことに留意する必要がある。それに対し,ノイズを反射させることなく,Rでノイズを熱に変換して吸収することができる。この用途の代表的な製品は,ビーズコアと呼ばれる小さいリング状のコアであり,また,電波吸収体用のフェライトもこの原理を使用している。フェライトをシールドとして使用する用途は,フェライトの高い透磁率を利用して,空間に流れている磁束をフェライトの中に誘導してしまうことが原理になっている。フェライト材質には,真空の数千~数万もの高い透磁率を示すものがあるので,シールド用としても好適である。