抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,微粉炭燃焼場を対象としたCFDシミュレーション用の揮発分放出(TDP)モデルを用いた。計算対象としたのは,100kg-coal/hの単一バーナを具備する石炭燃焼試験炉内の微粉炭燃焼場である。バーナには超低NO
xバーナであるCl-αバーナを採用した。石炭燃焼試験炉は長さ8m,直径0.85mの横置円筒型であり,排ガス性状と燃焼特性が発電用ボイラと相似になるように設計されている。Cl-αバーナは三重管構造を有しており,バーナから供給される燃焼用空気は,一,二,三次空気に分割される。微粉炭は,一次空気口から一次空気と共に旋回のない状態で炉内へ搬送される。バーナ一次空気の供給温度を353K,二次,三次,及び二段燃焼用空気の供給温度を623Kとし,微粉炭粒子の供給温度および供給速度を一次空気のそれらと同じ値に設定した。供給する微粉炭は,5,20,40,60,80及び100μmの粒子から構成されると仮定し,合計で4,800個の代表粒子を投入して計算を行った。揮発中のN分を生成源とするFuel-NOの生成・還元反応速度機構ろして,1.Do Soeteの反応モデル2.Chenらの反応速度定数の修正を考慮したDo Soeteの反応モデル3.Mitchellらの反応モデル,の3つのモデルを用いてCFDシミュレーションを行った。本研究により得られた結果をまとめると以下の通りである。(1)従来モデルよりもTDPモデルによる粒子速度計算結果の方が,実験で計測された粒子速度とよく一致し,TDPモデルを用いることにより,微粉炭燃焼炉内の火炎及び粒子挙動の再現性が飛躍的に向上した。(2)TDPモデルでは中心軸上のガス流速はどの位置においても炉出口に向かう。これは,バーナ出口近傍において,揮発分が多くかつ速く放出され,その燃焼ガスの膨張効果によって,1次空気管からの流れの軸方向貫通力が増すためである。(3)ほとんどの粒子は10
4~10
6K/s程度の高い昇温速度で昇温し,初期粒径が小さいほど粒子昇温速度が高く,揮発分の放出量及び放出速度が大きくなる。(4)揮発分Fuel-NOモデルとしてMitchellらのモデルを用いたシミュレーションが最も良く実験結果の傾向をとらえる。NO
x生成・還元反応の定量的な精度を向上させるためには,気相の燃焼反応をより詳細にモデル化する必要がある。