抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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九州大学福岡演習林の御手洗水試験流域においてGranier法を用いて8~20本のヒノキ(Chamaecyparis obtusa)の樹液流速測定を行い,樹液流速および蒸散量の個体差や微気象条件との関係について検討した。樹液流速の日変化は,流速の立ち上がり時間,ピーク時間および停止時間は各試料木でほぼ変わらず,変動パターンに個体差はなかった。樹液流速は大気飽差(VPD)に伴って増加する傾向を示したが,VPDが約25hPaを超えると樹液流速の増加が頭打ちになった。このようなVPDに対する樹液流速の応答性に個体差は認められなかった。樹液流速は,晴天日においては胸高直径(DBH)が大きいほど増加する傾向があったが,曇天日においてはDBHに関わらずほぼ一定だった。辺材面積はDBHが大きいほど広く,両者には高い相関関係(R
2=0.78)がみられた。単木蒸散量は,晴天日,曇天日に関わらずDBHが大きいほど多く,両者に相関関係(晴天日R
2=0.72,曇天日R
2=0.62)がみられた。これらのことより,単木蒸散量は,DBHが大きくなると辺材面積が増加するだけでなく,樹液流速も増加するため,両者によって相乗的に増加することを明らかにした。調査期間中の林分蒸散量は,Penmanの可能蒸発量と高い相関関係(R
2=0.83)があり,調査期間中に土壌水分の著しい低下はみられなかったことから,主に微気象条件に依存していることが示唆された。(著者抄録)