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J-GLOBAL ID:200902268964411225   整理番号:09A0368353

ブナにおけるマスティングの適応的意義とそのメカニズム

Evolutionary advantages and proximate factors of mast seeding in Fagus crenata
著者 (1件):
資料名:
号: 46  ページ: 53-83  発行年: 2009年03月 
JST資料番号: G0111A  ISSN: 0910-3945  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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多くの植物では,花や種子の生産数が空間的に同調しながら大きく年変動する。本研究では,マスティングとよばれるこの現象がなぜ生じるのかを明らかにするため,北海道南西部のブナ林で種子生産の年変動を調べ,マスティングの究極要因と至近要因を検討した。種子散布前の段階の種子食性昆虫相を把握するため,ガルトネル・ブナ林において,ブナ種子の落下量と品質を2000年から2002年までの3年間にわたって調べた。4種類の鱗翅目昆虫と1種類の双翅目昆虫がブナ種子を摂食していることが確認された。そのうち主要な種子捕食者は,葉食性昆虫のナナスジナミシャクと種子食スペシャリストのブナヒメシンクイの2種であった。ナナスジナミシャクの食害は春先の短い時期に限られていた。一方,ブナヒメシンクイの食害を受けた種子の落下は6月に始まり11月まで続いていた。これら2種による食害の割合は,虫害全体の85%以上を占めていた。ブナにおけるマスティングの究極要因の解明のため,5カ所のブナ天然林において調査された13年間のブナの開花・結実データに対して,受粉効率仮説と種子捕食者飽食仮説の検証を行うとともに,変動主要因分析とシミュレーションモデルという2つの異なる方法を用いて,受粉効率の向上と種子捕食者からの回避のメリットを統一的に評価し,淘汰圧の強さの比較検証を行った。当年の開花数と受粉失敗率との間,および,開花数の前年比(当年の開花量/前年の開花量)と種子散布前の虫害率との間には,それぞれ負の相関があり,受粉効率仮説と種子捕食者飽食仮説をともに支持する結果を得た。しかし,ブナの繁殖成功(開花した雌花が充実種子に至る生存率)の変動に対する受粉失敗と種子捕食の相対的重要性を検討した変動主要因分析では,繁殖成功の変動は受粉失敗よりも種子捕食による死亡により強い影響を受けていることを示していた。また,毎年一定量が開花した場合に比べ開花量が変動することにより,どのように種子の受粉失敗率,虫害率,結果率が変化するのかを調べた,シミュレーションモデルでは,現実のブナ林で生じている開花数の年変動の大きさが,散布前の種子捕食を回避し繁殖成功度を高めるのに最適な状態にあることを示していた。したがって,ブナにおけるマスティングは種子捕食を回避し繁殖成功度をあげるために進化した現象であると考えられた。...(著者抄録)
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分類 (2件):
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森林植物学  ,  発生,成長,分化 
タイトルに関連する用語 (3件):
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