抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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米国ではMRSAの病院内感染によって毎年9万人以上が死亡している。このため,既存の抗生物質に対するMRSAのよな耐性菌を抑え込むためには新しい抗生物質の早期開発が必要である。本評論記事では,新抗生物質開発に関わる3つの論文を取上げ,それらの内容を簡単に紹介した。1つは,Haydonらの報告〔Science321,1673(2008)〕で,これは細菌蛋白質FtsZ(細菌の細胞分裂に必須成分)に対して強い阻害活性をもつ新しいタイプの抗生物質の発見に関する論文である。2つめは,Raskoらの報告〔Science321,1078(2008)〕で,これは細菌のヒスチジンキナーゼQseCを阻害する薬剤成分(LED209)の発見に関するもの。3つめは,Hiratsukaらの報告〔Science321,1670(2008)〕である。細菌呼吸にはメナキノンが必須で,一般に細菌はメナキノン産生のためにmen遺伝子を持つ。しかし,そのmenを持たない例外的な病原体が存在する。クラミジア(Chlamydia),ヘリコバクターピロリ菌(H.pyroli),カンピロバクター(C.jejuni),スピロヘータ(Spirochates)などである。Hiratsukaらの報告は,これらmen遺伝子を持たない病原体のメナキノン生合成経路(フタロシン経路と命名)の同定とその経路の阻害剤の開発を目指している。これら3つの論文の内容に基づいて,今後の新しい抗生物質の開発研究の方向を述べた。