抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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昨年,7年間の作業を経たCJK統合漢字拡張CがISO/IEC 10646:2003のAmd.5として正式に発表された。拡張Cははじめて原規格分離を適用せずに整理された漢字集合である。拡張Cへの中華人民共和国からの申請は辞典類から収集された漢字が大半である。本発表では,その中で最大の収集元である「殷周金文集成引得」に由来する1800字程度の図形集合について,典拠を再調査した結果を報告する。拡張Cの統合作業中に提出された典拠確認資料を見ると,この収集は「殷周金文集成引得」の総画索引から,拡張Bまでで符号化済みと思われるものを削って選定したと思われる。しかし,選定された漢字を本文中で確認すると,総画索引には出現するが,釈文では使われていないものも少なくないため,それらを全て申請することの妥当性には疑問がある。また,金石学の分野では「古文字字形表」や「金文編」など過去にいくつもの字書が出版されているが,「殷周金文集成引得」の特徴の一つに,見出し字の大半を宋体(風の図形)にしている点がある。金文字形に対する宋体(風の図形)が一意的に定まる,言い換えれば「殷周金文集成引得」で導入された図形文字が(この字書の外部でも)金文字形に対する識別子として機能するのであれば,他の金石学の字書類と整合する筈である。そこで,代表的な金石学字書である「金文編」と「殷周金文集成引得」の比較を行い,この結果を報告する。また,この結果を踏まえ,「殷周金文集成引得」典拠情報の今後の管理方法について考察したい。(著者抄録)