抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2008年5月に,ドイツのボンで生物多様性条約(CBD:Convention of Biological Diversity)第9回締約国会議(COP9)が開催された。COP9では,農業と生物多様性,遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS:Access and Benefit Sharing),海洋保護区などの議論に進展がみられたほか,生物多様性版「スターンレビュー」ともいわれる「生態系と生物多様性の経済学」(TEEB:The Economics of Ecosystems & Biodiversity)に関する中間発表などがあった。さらに,企業からの参加者が大幅に増加し,各国地方自治体による市長会議も並行して開催されるなど,会議により一層多様な主体が関わるようになったのも大きな流れといえる。しかし,COP9で日本にとって最も重要だったのは,2010年に行われるCOP10の名古屋開催が正式に決定されたことであろう。2010年は,国連が定めた「国際生物多様性年」でもあり,また2010年までに生物多様性の減少スピードを顕著に減速させるという,いわゆる「2010年目標」の達成目標年でもある。また,我が国の自治体や企業にとっても,持続可能な天然資源利用に関する里山モデルや先進技術を世界にアピールする絶好の機会となる。こうした重要な節目となる2010年の締約国会議のホスト国となった日本の責任は重く,世界からそのリーダーシップに大きな期待が寄せられている。本稿は,こうした背景の中,生物多様性条約第9回締約国会議(COP9)の成果を10のポイントに要約するとともに,2010年に名古屋で開催されるCOP10に向けた課題の検討を試みたものである。(著者抄録)