抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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硝酸態窒素(NO
3-)は,そのほとんどが中・深層の無光層に存在している。中・深層のNO
3-の窒素安定同位体比(δ
15N)は,酸素極小層が発達する一部海域を除けば,世界中どこでも+5‰から+6‰ほどで一定している。一方,有光層で植物プランクトンによってNO
3-が取り込まれると,取込に伴う同位体効果のために,海洋表層のNO
3-のδ
15Nは高くなる。そのため,NO
3-のδ
15Nは濃度の低下に伴って増加することがこれまでに数多く報告されてきた。また近年,窒素固定や硝化反応に伴いδ
15Nが上層に向けて大きく低下することが一部の海域で報告され始めている。このようにNO
3-のδ
15Nは様々な生物地球化学的プロセスを反映して,空間的にも時間的にも明瞭な変化をする。それゆえ,窒素循環を含めた海洋生態系を解析するための有効なツールとして用いられている。しかしながら,外洋域に比べ沿岸域ではNO
3-のδ
15Nに関する知見そのものが極めて少ない。有機物負荷の多い沿岸域におけるNO
3-のδ
15Nの挙動は,これまで外洋域で得られてきた結果とは異なることが予想される。本発表では,日本を代表する内湾域である伊勢湾および,その外部境界である熊野灘をモデル海域とし,これまで知見が極めて少なかった沿岸域のNO
3-のδ
15Nの時間的・空間的特性を報告する。(著者抄録)