抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,今後の原子力発電所の定期検査時の保守作業レベルの維持・向上を図る上で有用な情報を得ることを目的として,一般産業における技能伝承に関連した動向調査,および原子力発電所の定期検査時の保守作業に携わる熟練作業者へのインタビュー調査を実施した。一般産業における技能伝承に関連した動向調査の結果,さまざまな分野で「2007年問題」が頻繁にとりあげられており,自社の保有する熟練技能やノウハウが喪失しかねないという危機意識を持っているところが少なくないことがわかった。技能伝承を円滑に進めるために,技能伝承計画の作成,マイスター制度の導入,熟練技能者による技能塾などの対策がとられていた。A原子力発電所の定期検査時の機械関係設備の保守作業に携わる熟練作業者に対するインタビュー調査の結果,保守作業にはさまざまな技能が必要となることがわかった。熟練作業者とそうでない人を比べると保守作業において「時間面の差」が大きいと考える人が多く見られた。以前に比べて熟練作業者の全体数が減少傾向にあるところや,高齢化しているところも見られ,今後懸念されるような事柄として,建設経験や不具合対応経験を通して習得できる技能の不足等があげられた。技能伝承の進捗程度は会社によりばらつきが見られ,うまくいっていない理由としては若手と教える側との年齢差によるコミュニケーションの問題等,一般産業でも見られるような点があげられた。全般的に原子力発電所での保守作業に特有の部分は技能伝承を進める上でマイナス材料として捉えられており,一般産業と共通の問題に加え原子力発電所特有の部分により,技能伝承を難しくしていると考えられる。(著者抄録)