抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本海側の各地域で,ナラ菌を伝搬するカシノナガキクイムシ(カシナガ)の集中加害が原因とされるブナ科,特にミズナラやコナラ等の樹木の集団枯損が発生し,1980年代以降被害が拡大しており,1)カシナガの生態と防除,2)福島県におけるナラ類集団枯損の様相,につき検討した。生態に関しては,1)カシナガの総穿入孔数は,樹幹高0.75~1.0m間の穿入孔数/m
2で推定される,2)樹幹における1穿入孔あたりの脱出成虫数は,枯損年の夏期の気象によって大きく変動する,3)日当たりのよい林分では気温上昇により2週間から1か月ほどカシナガの脱出期が早まる,4)ミズナラに対するカシナガの初期穿入は,脱出後速やかに行わる,5)ミズナラの枯損は,初期穿入2週目から始まって,4週目にピークとなり,6週目に終了する,防除に関しては,カシナガはNCS剤1L/m
3天幕くん蒸およびMITC(メチルイソチオシアネート)の30%液化炭酸ガス溶解製剤80g/m
3天幕くん蒸により完全に駆除される,ことが分かった。福島県でのナラ類集団枯損状況では,1)ナラ枯れは西会津町で2000年秋に初めて確認され,以降2003年までの最大拡散距離の平均値は6.0±3.2kmである,2)2004年に新たな被害が南東方向に連続して発生し,被害が急速に拡大した原因の一つは,台風6号による北西寄りの強い吹き返しでカシナガが南東方向に数10kmも大量に移動した可能性が高い,3)標高500m未満の被害発生が遅れる地区ほど隣接林分から大量のカシナガが移入するため,発生当初から被害は激甚をきわめ,被害の終息が早い,4)海抜500m以上の年次毎の被害状況は,被害発生年度の遅れた地区でも発生当初から進んだ被害状況を呈することが少なく,また発生4年目であっても被害状況の激甚化がみられず,被害消失地区が多くみられるが,一部には再発するものもあって,被害は止むことなく続く,ことが分かった。