抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年の省エネ対策としての住宅の高断熱・高気密化により,住宅における室内空気環境が悪化し,シックハウス問題が顕在化している。その対策案として,住宅内の揮発性有機化合物(VOC)を検出するセンサを開発し,そのセンサを用いて室内環境のモニタリングを行い,室内換気システムを組み合わせることで,室内空気質を清浄に保つことと効率的換気を行い,省エネルギーを同時に達成するシステム等が考えられている。このような換気システムに用いられるセンサは様々な有害ガスや低濃度のVOCを検出しなければならない。本研究では,様々なVOCを検知対象とすることが可能な半導体酸化物材料を用いて,センサ出力値をTVOCの定量値に換算して出力できるタイプのデバイスを開発することを最終目標としている。本稿ではTVOCセンサとしての検知対象ガスとそのガスに対する最適な酸化物の探索,及びその高感度化等について検討した。これまでの研究から,VOCに対して応答値が高い酸化物はWO
3,SnO
2,In
2O
3,ZnOの4種類であることがわかっている。今回,室内に発生する揮発性有機化合物を総量(TVOC)で検出し,必要に応じて換気扇を制御することにより,安全と省エネを目指すシステム用センサのための酸化物半導体センサについて,材料の基本検討を行った。その結果について紹介する。1)代表的な37種類のVOCに対する酸化物のセンサ応答では,脂肪族炭化水素とハロゲン化炭化水素に対する応答は小さく,オキシ炭化水素への応答は大きいことが分かった。2)応答の小さい,脂肪族炭化水素とハロゲン化炭化水素に対しては,酸化物への貴金属添加が効果的であり,ハロゲン化炭化水素系の応答性向上には,Pd添加が,脂肪族炭化水素には,Pt添加が効果的である。4)貴金属添加効果を考慮して判定すれば,WO
3,SnO
2がTVOCセンサ母材として良好と考えられる。