抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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従来のエネルギーサドン法では,固体または液体の試料に瞬時にエネルギーを与えて,脱離・イオン化を行うのが,マトリックス支援のレーザー解離イオン化(MALDI)やFAB/SIMS法である.後者は高速粒子を試料に衝突させて,脱離・イオン化を行う.この場合,10keV程度の運動エネルギーを持つイオンを試料に打ち込むが,入射粒子は表面下部の試料を玉突き衝突現象で破壊する.そのためエネルギーはの大部分は破壊に使われ,脱離効率は低い.SIMS法では入射粒子のサイズ大きくすることで,試料の脱離効率を高めることができる.15keVのGa
+またはC
60+でAg表面を衝撃することで,このことを示した.新しいタイプのクラスター2次イオン質量分析(SIMS)法として,帯電水滴衝撃イオン化法(EDI)の開発研究が我々の研究室で行われている.分子数9万個程度の微粒子の水滴を正の100価電子数に帯電させて,10keVで加速した水滴入射粒子を用いて,ステンレス鋼基板の上に堆積したぺプチドを,脱離・イオン化した.膜の厚さが単層の10倍以内の有機試料では,下にある基板表面を傷つけず脱離・イオン化することができる.試料と相互作用する時間はぴピコ秒程度であり,超高圧衝撃波ナノ化学現象が生じていることになる.EDIによる脱離とイオン化は,マトリックスシエンノレーザー解離イオン化(MALDI)と比べて,複雑で厄介ななことは起こらないことが分かった.