抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
5次全国総合開発計画(1998年)は,「流域圏」をとくに重視しており,健全な水循環系の形成と流域管理の実現の重要性を掲げている。この第5次全国総合開発計画を契機として,流域管理に対する関心が研究者やNPO等の間で高まるようになった。一方,国土交通省水資源部では,長期的な水需給の見通しを示すとともに,水資源の開発や利用,保全に関する基本的方向を明らかにするために,1999年に「新しい全国総合水資源計画(ウォータープラン21)」を策定している。ここでは,流域圏の水資源を形成する河川と農業用水路を対象として,それらが有する機能の評価と経済的評価,支払行動の規定要因について解明を行った。経済的評価の分析方法はCVMを適用した。分析の結果,得られた知見は以下のとおりである。河川の年間1世帯当たりのWTP(中央値)は,都市地域(下流)で2016円,農村地域(上流)で2459円,一方,農業用水路のWTPは都市地域で2178円,農村地域で2874円の計測結果が得られた。ここでは,地域住民の支払行動から,流域圏の水資源(河川農業用水路)の保全や対策を検討するにあたって,非農家や若年層,女性に対する水資源の理解促進のほか,とくに都市地域においては河川を情操教育の場として,一方,農業用水路を防火用水や雑用水の場に整備していくことが必要であることを指摘した。