抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ニホンノウサギ(ノウサギ)は里山を代表する哺乳類とも言える。そのため里山の保全という視点から,里山におけるノウサギの生態的な位置づけや環境利用などを明らかにする必要に迫られている.また,近年は稀少猛禽類の餌動物として,生態系を支える 動物として見直されつつある。一方,ノウサギは造林木の有害動物としての調査研究が先行したためか,被害対策に関する報告は多い。しかし,環境利用に関しては,行動量,棲息密度推定,立地条件と行動量との関係,行動圏などが報告されてはいるものの,この分野については遅れている。京都府南部地方の混交林,竹林,果樹園,荒地,畑地,田がモザイク状に散在する里山地帯において冬期間におけるノウサギの土地利用を数量化I類によって解析した。環境項目として地形,欝閉度,植生被度,景観植生をとりあげ,外的基準として糞粒数と食痕数を用いた。景観植生ごとに地上部80cmまでの植物を刈り払い,乾燥重量を計量した。糞粒数では景観植熊が常に寄与度が最も高く,欝閉度が次いだ.さらに,景観植生の中では果樹園に多く,そこでの長時間の滞在が示唆された。欝閉度では中程度に多かった。食痕数でも景観植生の寄与度が高く,時期によって異なるものの田,荒地,果樹園でも利用されていた。これらはイネの孫生,雑草の新芽などが集中して食べられたことによる。ササ類は調査期間を通して最もよく利用され,それは混交林に多く,混交林は餌場と見られた。植生量は果樹園で最も多く,そこは餌供給の場だけでなく,果樹棚による遮蔽効果も高いため,ねぐらとして利用されているとみられる。このように,ノウサギは棲息地の植生条件などに合わせて活動していたと考えられる。