抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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沖縄県宮古島市は河川がないものの地下水が豊富なため,用水全般を地下水に依存している。そのため地下水保全が重要になっているものの,農薬や化学肥料による地下水汚染が懸念されている。また農業生産ではさとうきび生産の依存度が高く,自然環境を維持しながら農業振興をはかり,地域活力を向上させることが重要となっている。本研究では,自然環境を保全しながらさとうきびを増産させるため,宮古島市内のさとうきび生産者を対象にアンケート調査を実施し,さとうきび生産の実態,課題,今後の意向,有機性資源に対する意向を把握し,環境保全に配慮したさとうきび生産の展開方向について検討を行った。調査の結果,さとうきびの増産に積極的な農家は3割弱と少なく,高齢化及び労働者不足から現状維持との回答が6割を占め最大となった。収穫方法は6割が手刈りであり,機械による収穫は規模拡大に伴い増加傾向にあることから,さとうきびの増産には作付け規模の拡大や生産組織の育成など組織化が必要であることが明らかになった。またさとうきび生産と環境保全の関連について,化学肥料による地下水汚染に関して約2割の農家で認知していなかったことから農家の理解を深めることが必要であること,堆肥などの有機質資源の利用は十分でない上,絶対量が不足していることから有機質資源を確保する対策が必要であることが明らかになった。