抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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風力開発はクリーンエネルギーとして期待が集められ,急速な伸びを示しており総発電量で100万kWを超え,今後も一層の導入が見込まれている。風力発電設備の建設にあたっては,地形上の適地として,日本においては,風量の多い日本海沿岸に設置されるケースが多い。しかし,日本海沿岸は世界的にも稀な大きなエネルギーを持つ冬季雷の頻発地域としても知られている。さらに風車高が数十mにも達するため,ブレードをはじめ風力発電設備に被害をもたらし,運転停止や保守・メンテナンスの面でたびたび問題となっている。このため,風力発電設備の耐雷対策等実施していく上で風力設備に直撃する雷電流観測を実施し,その性状や被害状況を把握することは重要である。とりわけ,ブレードの被害は深刻であり,被害の様相やこの問題に関する対策の方向性を明らかにするための調査・研究がなされてきた。本論文は,このなかで,秋田のウィンドファームにおける観測の概要と取得された観測データから風車に落雷する雷の性状について考察した結果について論じたものである。観測装置として,二種類を用意した。一つは雷電流波形と発生時刻を記録できる雷波形観測装置であり,もう一つは正負の電流波高値,電荷および発生時刻が記録できる安価な簡易型雷電流計測装置である。これまで,日本海沿岸に位置するウインドファームに複数台の観測装置を設置し,約2年問で観測した。本観測によりこれまでに得られた知見は以下の通りである。1)観測で使用した2種類の装置の観測データは良く整合が取れており,簡易的な雷電流計測装置のみの観測でも,風車落雷の実態把握に有効なデータを提供し得ることが確認できた。2)風向に対して風上にある風車,あるいは,地上高の高い風車への雷撃頻度が高いことがわかった。3)風車頂部に落雷した電流は,鋼管製の塔体と制御盤等の接地線に分流することが確認できた。4)峻度の急な波頭部において,雷電流の分流は見られず,そのほとんどの電流が塔体を流れた。5)これまで取得された観測データを統計処理することにより,本サイトにおける雷の性状を定性的に把握することができた。それらの結果は,過去の観測例と比較しても,概ね一致していることが確認できた。