抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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スピントロニクスデバイスの開発では,室温で大きなトンネル磁気抵抗(TMR)効果を示す材料が求められている。そして,Fe/MgO/Fe磁気トンネル接合(MTJ)において,室温において180%のTMR効果が観測されている。だが,MTJ界面の波動関数に対称性を評価する手法が,開発されていないの現状である。本稿では,磁気コンプトン散乱を用いて,Fe/MgO/Fe磁気トンネル接合界面の波動関数を評価した。まず,RFスパッタ装置を用い,FeとMgターゲットを交互に積層することで,Fe/MgO多層膜を作成した。この膜の構造を,X線回折,電子顕微鏡観測で構造を観測し,SQUID磁力計で磁化観測を実施した。更に,円偏光X線を用いた磁気コンプトン散乱を測定し,界面の波動関数の対称性の観測を実施した。そして,X線回折から,Fe(002)とMgO(002)配向が,確認された。また,界面酸化層あり/なしの場合でのFe/MgO多層膜について,磁気コンプトン散乱の測定を実施した。FeO酸化層がある場合には,酸化していない場合よりも,膜面に垂直に磁場を印加した配置(out of plane)と平行に磁場を印加した配置(in plane)の磁気コンプトンプロファイルの差が小さくなった。つまり,この異方性は,波動関数の対称性を反映するものである。これを踏まえ,3つの対称性の波動関数の磁気コンプトンプロファイルの異方性のモデルを計算した。そして,界面のFeが酸化すると,単に磁化が減少するだけでなく,新たに波動関数の対称性も変化し,波動関数の対称性の整合性が変化することが明らかとされた。