抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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偏極中性子散乱を用いた固体の磁性研究方法について論じた。偏極中性子散乱を用いた研究は,中性子源及び偏極用光学素子の進歩により,一般的に行なわれるようになった。大強度陽子形加速器施設(J-PARC)の中性線源(JSNS)を用い,今後研究を行なう際の参考に供すべく,日本原子力研究開発機構JRR-3を用いて行なった実験を通じて得た磁性研究における偏極中性子散乱の役割に関する知見を述べた。まず偏極中性子散乱の原理について触れ,偏極中性子の生成方法,偏極デバイスとして磁性単結晶を用いたモノクロメータ,人工多層膜を用いたスーパーミラーガイド,及び光ポンピングにより偏極された
3He核などを用いた偏極フィルタについて述べた。次に誘導磁場で与えられる一つの方向における偏極度依存の散乱断面積を測定する1次元または長手方向偏極解析,及びこれを発展させた3次元偏極解析について論じた。さらに偏極中性子を用いた強磁性ナノ粒子の研究の具体例として,スピン液体状態における短距離磁気相関,巡回磁性体におけるスピンのゆらぎ,およびフラストレーション磁性体の複雑な基底状態を取り上げ,偏極中性子散乱を用いて固体の磁性を研究する方法が,特有の役割を果すことを示した。