抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ダイズの発芽時の湿害軽減効果を有する調湿種子の実用性を高めるため種子調湿後の保管方法が保管時の種子水分の変動,および種子の発芽力へ及ぼす影響について検討した.その結果,調湿した種子の水分維持には,常温(約25°C),低温(10°C)のいずれの温度下においても外気との接触を避けることが重要であり,市販のブルーシートで種子袋の全面を覆うような簡便な方法によっても水分維持が可能であった.保管方法と種子の発芽力の維持に関しては,調湿種子を密閉して常温保管した区のみ,保管後4週間目から発芽力が低下し始め8週間目には大きく低下したが,調湿種子を密閉して低温庫内(10°C)に静置した場合,および乾燥種子を常温保管した場合は保管後8週間を経過しても発芽力は低下しなかった.また,ポットを用いて播種直後の冠水条件を再現した出芽実験から,播種後の過湿ストレスが強い場合には,調湿種子の常温保管は出芽に悪影響を及ぼすことが示された.以上から,乾燥種子と比べ調湿種子は常温下の長期保管には適さないが,外気と接触しないように密閉して保管することで,常温(約25°C)では2週間程度,低温(10°C)では8週間程度は十分な発芽力を維持できることが明らかになった.本結果に示した保管方法は,2週間程度であればブルーシートなど既存の資材を用いて室内,常温保管可能という安価,簡便なものであり,保管可能な期間についても調湿種子製造工程の作業分散を考慮すると農業現場の播種作業に十分に適用できる技術であると考えられる.(著者抄録)