研課題
J-GLOBAL ID:200904026297929273  研究課題コード:0450021016 更新日:2003年12月15日

神経疾患および健常人の神経生理学的研究 定量的脳波解析による血管性痴呆の診断

Clinical neurophysiological studies in normal and neurological disorders: Quantitative EEG study in vascular dementia
実施期間:2002 - 0
実施機関 (1件):
実施研究者(所属機関) (1件):
研究概要:
血管性痴呆(VaD)における脳波変化を明らかにする目的で,臨床的にアルツハイマー病(AD)と診断された症例を対照に,健常者との対比から定量的脳波所見の統計学的比較を行った。対象は,放射線学的画像所見,Hachinski Ischemic Score,HDS-R,WAIS-Rの成績などを参考にNINCDS-ADRDAおよびDSM-III Rに基づいて軽症から中等症のDAと診断された10例と,VaDと診断された10例で,年齢を対比させた健常者20例を対照として定量的脳波解析を行った。脳波は,安静閉眼状態で記録し,10~20国際法に基づいて配置した16電極から導出し,2.0 Hzから19.8 Hzまでの帯域について1 Hz刻みに周波数分析を行った。さらに,徐波帯域のパワーの,アルファ帯域とベター帯域のパワーに対する割合,すなわち Power Ratio Index(PRI)も求めた。Student-t 検定を用いて個々の症例を対照群と統計学的に比較した。1 Hz毎のパワーの分布は,健常対照群ではアルファ帯域のピークが9~10 Hz存在したが,AD群では8~9 Hzとやや遅く,VaDではデルタ帯域にもピークが認められた。AD群,VaD群ともに,健常対照群と比較して,全ての電極部位でPRIの有意な増加が観察された。AD群では左半球優位に両側の後頭部から頭頂部でPRIの増加が顕著であった。一方,VaD群ではAD群よりもPRIの増加が著しく,とくに両側の前頭部で顕著であった。AD群に比してVaD群では基礎律動のより強い徐波化が認められ,AD群が後頭部や頭頂部を中心に徐波化が認められたのに対して,VaD群では前頭部優位に観察された。すなわち,血管性痴呆では,アルツハイマー病と比較して,デルタ波がより強く認められたことから,皮質下病変をより多く含む病態を反映した結果と見做された。

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