研課題
J-GLOBAL ID:200904028813977916  研究課題コード:0450021932 更新日:2004年11月08日

個別有機分子の放射性炭素分析に基づく無酸素水域の成因に関する基礎的研究

Fundamental study on origin of oxygen-free water area based on radioactive carbon analysis of individual organic molecule
実施期間:2003 - 2005
研究概要:
本研究の本質、目的を以下に記す。具体的には、バクテリア由来バイオマーカーの14C,安定炭素同位体(13C)分析により、現在、過去における水塊構造の時系列変化を詳細に明らかにすることを目的とする。例えば、氷期の日本海においては当時の水塊構造はOba et al. (1995, Paleoceanography),Yamada et al. (1999, Geochemical Journal)によって海洋が無酸素化したことが示唆されている。このイベントに対して分子レベル14C解析を行い、現在未解決である氷期における海洋深層の無酸素化プロセスの解明を行う。堆積した当時のバクテリアの14C年代が、堆積年代(有孔虫年代)に対して差がほとんど無い場合、これらは上層の基礎生産によって運ばれた新鮮な有機物を用いて生息する従属栄養細菌が生息している可能性がある。差が認められる場合は、海洋下層における再無機化された二酸化炭素やリサイクルされた炭素源(メタン、酢酸など)を用いて生息している化学栄養細菌の可能性が示唆される。バイオマーカーを生産するバクテリアの最適生息環境(具体的には深度や温度、栄養源、他のバクテリアと共生は可能か等のデータから)や堆積年代との差の程度から、滞留時間の長短が明らかになる。その時系列変化はとりもなおさず海洋無酸素化へのプロセスに他ならないだろう。このようにして、過去の水塊構造やそのプロセス、滞留時間等を含めた海洋環境の変化を詳細に明らかにしたい。同時にこの手法を、現在における無酸素水域(貝池などの湖沼試料)にケーススタディーとして適用させる。この結果から分子レベル13C分析や分子存在量のデータを併せたエンドメンバー、14Cから得られる詳細な生態等のデータを得る。これらに基づくマスバランス計算により、これらの定量的関係を見積もる。この関係から現在まで未解決だった、現在、過去における、バイオマーカーレベルでの(すなわち、炭素循環を担う生物種レベルでの)地球化学的な炭素サイクルの定量的な解釈が可能となる。ターゲットとするバイオマーカー化合物は、ホバノイド化合物の一種であるディプロプテン(13Cが極端に低い場合はメタン酸化細菌、13Cが高い場合はシアノバクテリア)、C15枝分かれ脂肪酸(硫酸還元菌、グラム陽性細菌)、C18:1(1不飽和)脂肪酸(硫黄酸化細菌)である。これらをPCGC(分取ガスクロマトグラフィー)により分取する。古細菌由来エーテル脂質(アーキオール等)は分子量が大きいためLC(液体クロマトグラフィー)により分取する。この全く新しい手法を用いて、過去における地球環境変動を質的量的に把握することを目的として研究を行う。
プロジェクト実施機関 (1件):
  • (C013000000)
研究制度: 科学研究費補助金
研究所管省庁:
文部科学省

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