研課題
J-GLOBAL ID:200904045636342320  研究課題コード:0450024142 更新日:2004年11月04日

過敏性腸症候群の病態機構解明および治療薬開発に向けたノックアウト・マウスを用いた基礎研究

実施期間:2003 - 2004
実施機関 (1件):
実施研究者(所属機関) (1件):
研究概要:
近年、人医領域では、ストレスやアレルギーなどの要因により消化管機能が異常に亢進あるいは抑制されることによって、結果的に下痢や便秘、あるいは下痢と便秘を繰り返す過敏性腸症候群(IBS)が現代病のひとつとして問題となっている。獣医領域においても、IBS様疾患として多頭飼育や輸送に伴うストレス性下痢症の発生が多い。IBSの病態には神経系、ホルモン系、免疫系など様々な要因が係わっているため、いまだその発生機序は不明である。申請者は、人および動物の症例報告等から、消化管の知覚神経過敏に伴い消化管平滑筋を興奮性に支配しているコリン作動性神経活動の亢進が大きな原因ではないかと考えている。IBSは人医・獣医領域を問わず、今後ますます問題視される疾患と思われる。そこで、本研究では、その先駆けとして、IBSの発生機序解明および治療薬開発をリードするための基礎研究を上述の仮説をベースとして展開する。 消化管をはじめとする内臓平滑筋には、コリン作動性神経の伝達物質であるアセチルコリンの作用を仲介する受容体としてM2とM3と呼ばれる2種類のムスカリン受容体が存在する。コリン作動性神経による消化管運動の調節には、これらのムスカリン受容体が関与している。しかし、同神経から平滑筋へシナプス情報伝達においてM2とM3サブタイプがそれぞれどのように関与しているのか、平滑筋運動においてどのような役割を担っているのか、十分に解明されていない。このことがIBS発生機序の解明に大きな障害となっている。受容体サブタイプの機能に関する研究は、これまで各サブタイプに比較的選択的な拮抗薬を用いて行われてきた。しかし、拮抗薬の選択性には限界があり、M2あるいはM3サブタイプの反応を完全に分離することは不可能であった。そのため、新しい研究戦略が求められている。 本研究では、ノックアウト・マウスを用いて消化管におけるコリン作動性神経-平滑筋情報伝達におけるムスカリン受容体サブタイプ(M2とM3)の機能的役割を明らかにし、IBSの発生機序の解明および治療薬開発に向けた基礎的情報を提供し、IBS研究の発展に資することを目的とする。このために、M3またはM2のサブタイプ欠損マウスを用い(必要に応じてM2とM3のダブル欠損マウスも用いる)、ムスカリン受容体作動薬およびコリン作動性神経刺激により生じる消化管平滑筋の機械的反応および膜イオンチャネル電流反応をワイルドタイプのものと比較・解析する。本アプローチは各サブタイプ欠損マウスを用いて比較するため、反応の分離が可能であり、サブタイプの機能を明らかにするには最も有効な方法である。このような、ノックアウト・マウスを用いたアプローチは世界でも最初の試みである。
キーワード (3件):
過敏性腸症候群 ,  ムスカリン受容体 ,  コリン作動性神経ー平滑筋情報伝達
研究制度: 基礎科学研究
研究予算: 2003年度: 1,200(千円)

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