研課題
J-GLOBAL ID:200904095561036519  研究課題コード:0150001559 更新日:2000年12月21日

自己免疫と腫瘍との相関 自己免疫現象を応用したがん免疫療法の開発

実施期間:1998 - 1999
実施機関 (1件):
実施研究者(所属機関) (5件):
研究概要:
自己免疫病は,生体の免疫系が自己の臓器の構成成分を異物と認識し,特異性を有する抗体あるいは免疫担当細胞の作用により臓器の機能障害や組織破壊を引き起こす疾患である。このような自己免疫現象を応用して免疫系が癌細胞特異的に作用する方法を開発することができれば,優れた癌免疫療法になる。そのためにわれわれは複数の自己免疫病自然発症マウスモデルを独自に開発し,自己免疫病の発症機序や自己の認識機構を解析してきた。その結果,(1)正常な個体においては個々の臓器抗原は臓器特異的な抑制T細胞により自己と認識され,その細胞により抗原特異的なエフェクター細胞の活性化が抑制され,恒常性が維持されていること,(2)抑制T細胞を生体内から取り除くと多臓器に自己免疫病が発症することを明らかとした。われわれが開発した自己免疫病自然発症マウスの一つにTGヌードマウスがある。このモデルはヌードマウスの腎被膜下に異種であるラットの胸腺原基を移植することにより作製する。移植したラット胸腺にはヌードマウスの前駆T細胞が入り込み成熟したT細胞となって末梢に出ていく。TGヌードマウスの移植ラット胸腺ではマウス抑制T細胞を産生することができず,多臓器に自己免疫病が発症する。卵巣に注目すると自己免疫性卵巣炎が高頻度に発症する。同マウスの血中には抗卵細胞や抗透明体抗体に加え,卵胞や黄体等のステロイド産生細胞と反応する抗体が検出でき,卵巣の実質が無くなるまで繊維状に萎縮してしまう。卵巣炎発症マウスの脾リンパ球をT細胞もB細胞も欠如しているscidマウスに注射しておくと,ドナーと同様の激しい卵巣炎が発症する。またドナーからCD4陽性のT細胞のみを採取しscidマウスに注射しておくと,程度は弱いが卵巣炎が発症する。このことは組織障害は抗体の働きなしでも,細胞性免疫だけで進行しうるが,液性と細胞性の同時作用で強い障害が生じることを示している。卵巣に発生する顆粒膜細胞腫は卵胞細胞由来である。TGヌードマウスにおいては卵胞は自己免疫の標的であることから,卵胞を起源とする顆粒膜細胞腫も標的となりうる可能性が高い。顆粒膜細胞腫を実験的に作製する方法として,(1)低量の放射線照射で卵細胞を破壊する,(2)発癌剤を投与する,(3)脾臓内に卵巣を移植する,(4)新生時期に胸腺を摘出する,がある。現在これらの方法により卵巣腫瘍を作製し,経代株の樹立を試みている。
研究制度: 経常研究

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