研課題
J-GLOBAL ID:200904099108853420  研究課題コード:2429 更新日:2013年10月07日

振動するバイオナノマシンの原理と構築

実施期間:2002 - 2008
実施機関 (1件):
実施研究者(所属機関) (1件):
研究概要:
真核生物の鞭毛・繊毛の運動は微小管とモーター蛋白質ダイニンの間の滑り運動によって生じるが,屈曲波が形成される機構はまだわかっていない.重要であると考えられるのは,ダイニンの特殊な性質と,鞭毛内部の運動装置 -軸糸- の精巧な構造である.本研究は,モーター蛋白質が滑り運動を発生する機構から,軸糸が波動運動を発生する機構までを,解析的方法とともに再構成・人工的合成の方法を用いて理解しようとするものである.まず,巨大で複雑な分子構造をもつダイニンがどのような機構で力発生をするかを明らかにするために,組換えダイニンを発現するシステムを確立し,その運動活性を調べることが必要である.これまでに,運動活性を維持した細胞質ダイニンの発現系を確立し,組換え体を作成してその機能解析を進めてきた.また,ダイニン運動活性を直接制御する因子についても明らかにしてきた.このようにダイニンの分子機構の詳細を明らかにするツールが十分整備されたので,ダイニンATP加水分解の各ステップを光学的に捉え,そのステップに対応した構造変化の詳細を明らかにする実験を開始した.すでに興味深い様々な知見を得ている.今後はさらに軸糸ダイニンの発現も試み,ダイニンの機能的性質をその分子構造との関連において理解するとともに,ダイニン自体が振動的運動を発生する可能性を探る.同時に,運動異常突然変異株の鞭毛構造と運動性を解析し,ダイニンなど多数の軸糸構成蛋白質が波動発生に果たす役割を解明する.その際,軸糸の規則的構造は運動発生機構にとって本質的であると考えられるので,そのような構造が形成される機構も研究の対象とする.同時に,人為的に解体した軸糸における運動解析にも取り組む.昨年度までの研究では,2本の周辺微小管だけで振動的運動が発生することが判明した.今後,単離したダイニンと微小管に様々な微小管架橋蛋白質を組み合わせることによって,組織化された運動性の発生をめざす.これらのダイニン運動系研究と同時に,生体運動発生機構そのものを問い直す目的で,熱エネルギーによって駆動される人工的運動発生実験を行う.そのような実験は本多らによって予備的な成功を収めており,今後の生体運動研究全体にインパクトのある重要課題であると考えられるからである.本研究は,単に鞭毛繊毛運動機構の理解というだけでなく,高次機能複合体の集合機構や,振動現象の発生機構の理解の基礎を提供するものである.また,未解明の部分が多いダイニンの動作機構の理解にも大きく貢献することが期待される.将来,振動するバイオナノマシンが完成すれば,ナノテクノロジー分野におけるアクチュエーターとして,広い応用が考えられる.
研究制度: ナノテクノロジー分野別バーチャルラボ
研究所管省庁:
文部科学省
研究所管機関:
独立行政法人科学技術振興機構
研究予算: 0(千円)
報告書等 (2件):
上位研究課題 (1件):

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