抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ストップ(終止)コドンがないメッセンジャーRNA(non-stop mRNA)は,遺伝子発現の誤りから生じることがあり,異常なタンパク質をコードしていて,その蓄積は細胞機能に有害となりかねない。細菌では,このような「ノンストップタンパク質」(non-stop protein)は翻訳と同時にssrA/tmRNA(トランスファー・メッセンジャーRNA)がコードするペプチドで標識され,この標識はエネルギー依存的プロテアーゼによる分解のシグナルとなる。真核細胞がノンストップタンパク質を排除する仕組みは不明である。今回我々は,出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のLtn1RINGドメイン型E3ユビキチンリガーゼが,ノンストップタンパク質の品質管理に働いており,その過程はssrAによって行われるものと機構的には異なるものの,概念的には同様であることを示す。Ltn1は主にリボソームに結合しており,新たにできたノンストップタンパク質をユビキチンで標識し,これがプロテアソームによる分解の対象であることを示すシグナルとなる。Ltn1が誘導するノンストップタンパク質のユビキチン化は,ポリA尾部翻訳の際にリボソーム内で止まることにより惹起されるらしい。Ltn1機能の消失がノンストップタンパク質産生増加によって引き起こされるストレスに対する感受性をもたらすという知見は,この過程が生物学的に重要であることを強調している。マウスのLtn1ホモログListerinの変異の結果生じる神経変性表現型の原因は,タンパク質品質管理の欠陥なのかもしれないと,我々は推測している。Copyright Nature Publishing Group 2010